解っていた。


こんな邪な想いが彼女に受け入れて貰えない事も、
隠し通してきたそれが知れたらその時は彼女が自分の元から離れて行く事も。


何もかも解っていた筈なのに。







Love Of ...







あの日彼女に伸ばした手を拒絶されて、自分の精神を支えていた柱は呆気なく崩れ落ちた。


彼女に拒絶された事で自分の世界は崩壊し、それと同時に生きる意味さえ失った。


今自らの手に残るのは多くの許される事の無い罪と後悔だけ。





今思えば、なつきに抱かれて光となったあの瞬間はとても幸福だった。


死に対する恐怖などは一切無かったし、寧ろ死んでしまいたかった。


彼女の存在しない世界に自分が存在していく意味は無い。


彼女はこの世に存在しているのだからこの言い方には少し語弊があるかもしれないが、
自分が彼女に触れられないのなら、存在しないも同然だから。






***





不安定な感情が自分を支配する。

こんな日々がもう何日続いているのだろう。



私は新しく自分の住まいとなったマンションの寝室で毎日葛藤していた。


学校になど勿論行く気にはなれなかった。


舞衣や碧が心配してメールを送ってきてくれるが返信もせずに放っておいた。


それでも毎日大丈夫かという内容のメールは届く。

そんな心遣いを有り難くも思う反面煩わしくも思ってしまう程、今は気持ちに余裕が無かった。


それでも切れない携帯の電源。


何故かはとっくに解っている。



私はあいつから連絡が来る事をどこかで期待していた。




(……虫が良過ぎる)




自分から彼女を拒絶しておいて、それでも尚、彼女からの接触を待っている自分が腹立たしくて仕方がなかった。



目をつぶれば今だ鮮明に思い出せる。

あの絶望に歪んだ悲しい紅の瞳を。


私は彼女を残酷なまでに傷つけたのだ。




(…静留)




もう少しちゃんと話を聞いてやれば良かった。

そうしたらもしくは彼女を止められたのかも知れないのに。




(…静留…)




もう私はどうしたいのか、どうしていいのか解らなかった



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