妄想シリーズ第三弾

〜なつきがDr.だったら(前編)〜


「ただの風邪ですね。解熱剤と咳止めのお薬出しておきますので…」

風華の街に出来たとある診療所。

そこは小さいながらも患者への対応が良く、的確な診察、治療をしてくれると言う事で、
可成の支持を受けていた。

そんな大人気の診療所の責任者、
とどのつまり所長を努めるのは、若くして医学界にその名を轟かせた名女医、玖我なつきその人である。

勿論大学病院や総合病院からのお誘いが無かった訳では無い。

彼女の実力はどこの病院も喉から手が出る程欲しい物だった。

しかし彼女は全ての誘いを丁重に断ると自ら小さな診療所を始めたのである。



「次の方どうぞ〜」


看護士の女性が診察室のドアを開け、次の患者に入る様呼び掛ける。


「はい」

「じゃあそこの椅子に腰掛けて下さい」


Dr.玖我は前の患者のカルテを書き終え、次の患者のカルテに目を通す


…が


「ぶっっ!」

「せ、先生!?」


何を思ったか、Dr.玖我はカルテ片手に思い切り吹き出すと
慌てて目の前に座っている患者の方を向いた。


「し…」

「せんせ。よろしゅう頼んます」


にこやかな笑みを浮かべ椅子に座る患者は、流暢に京言葉を操る綺麗な女性だった


〜なつきがDr.だったら(後編)〜


「静留…今日は?」

「あらせんせ。藤乃さんて呼・ん・でv」

「…ッ!」


看護士が他の患者の所に行ってしまったのを良い事に、Dr.玖我に思いきり甘える静留。

微熱があるのか顔が紅潮し、少し潤んだ目なのが卑怯的に可愛かった。


「ごほん。え、えーと…ふふふ藤乃さん。今日は…」

「何や熱っぽくて頭がぼーっとするんどす」

「う、う〜ん、風邪かな。じゃあ胸見ますから服を上げて下さい」


Dr.玖我がそう指示すると静留は、「はい」と返事をし、着ていた服を捲り上げた。


「ちょっと失礼します…」


一言断りを入れ、聴診器を胸元に当てると


「…ぁん」

「…ッ!?」


静留から何とも艶めかしい声が発せられた。


「す、すまん。ちょっと冷たいけど我慢してくれ」


そう言ってDr.玖我は補聴器をずらす。


「…ぁ、ぅん」


その度に色っぽい声が発せられるので、見る見るうちにDr.玖我の顔は紅く染まっていった。


「…静留」

「ふ・じ・の・さんv」

「……藤乃さん」

「何どす?」

「わざとそう言う声出すの、やめて頂けませんか?」


Dr.玖我の顔は今にも沸騰してしまいそうに紅い。


「あら〜い・け・ず。じゃあ家でおとなしく待ってますさかい、看病頼みますぇ」


そう言ってDr.玖我の右手を握ると、おもむろに自分の胸に押し当てた。


「……ッッッ!!!」


ぼんっ!



その後一日中、Dr.玖我の診察態度がおかしかったのは言うまでもない。





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言い訳。
妄想と言うか趣味…?


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