妄想シリーズ第一弾

〜なつきが美容師さんだったら(前編)〜


風華の街に新しく出来たお洒落な美容室。
そこの店長を努めるのは二十代にしてありとあらゆる技を身に付けたと言う若きカリスマ、
人呼んでクールビューティーナツキ・クガ、その人である。



「いらっしゃいませ」

なつきの努めるこの店は老若男女問わず人気があり毎日予約でいっぱいの状況だ。

ファッション雑誌の取材も後を絶たないが、
なつきは今まで一つとしてその取材を受けた事は無かった。


―――曰く、常連さんを大切にしたいから客の数自体は関係ない、らしい。




からんからん


「いらっしゃいませーっ…て静留じゃないか」

「ふふ。こんにちは。今日予約入れといたんやけど」

「え!?…あ、ほんとだ。何時の間に…」

「なつきには内緒にしとったんよ。びっくりさせよー思ってな」

「あぁびっくりしたよ。今日はカットか?」

「えぇ」

「じゃあまず洗髪から…あ、君、こちらのお客様の洗髪を」

「はい。ではお客様、こちらへ」




〜なつきが美容師さんだったら(後編)〜


「店長のお知り合いの方ですか?」

「え?」


洗い終えた髪を軽くタオルで拭きながら、スタッフの女性が静留に尋ねる。

「あ、いえ、先程仲良く話されていたので」

「あぁ…まぁ高校からの仲やしなぁ」

まさか恋人同士とは言えないので曖昧に言葉を濁すが、
仲が良さそうと言われて悪い気はしなかった。

静留はドライヤーで髪を乾かされている間、上機嫌でなつきを探す。

勿論、視線のみで、だが。



「で、うちの友達も店長さんの事美人だって!」

「ははは、そ、そうですか。それはそれは…」


「…」

上機嫌の表情から一転。
ゆらりと立ち上る嫉妬の炎。


「でもいいなぁ〜店長さんの髪。さらさら〜」

「あ、あの」

「わぁ…指通り超イイ!」

「お、お客様、前を…」
「うぉっほんっ!!」

「…!し…しず…」

ぎろっっ!

鏡越しで合った目。
静留の視線はなつきを怯ませるのには十分過ぎた。

「……き、君、続きは頼む」
「え?は、はぁ…」


その後、なつきが始終静留の担当だったのは言うまでも無い。




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言い訳。
妄想ばく進中…


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